ジッタ分析
ジッター分析ツールの応用 ジッターを引き起こしている信号、変調領域で累積ジッターを表示。 FFTを使用してジッターの周波数成分を観察。 ジッターが時間および出力サイクルによってどう変化するかを表示。
はじめに ジッター分析によりジッターの累積を観察することができます。ジッター分析では、周期などの関数を一定範囲内で自動的に走査することによって、特定の周期数にわたってジッターの計測を行います。そのためには低アーミング停止イベント(Low Stop Arming Event)、高アーミング停止イベント(High Stop Arming Event)、増分(Increment)を指定します(図1)。これに基づいて、DTSは、低アーミング停止イベントからこれに増分を加えたイベントまでのデータを元にヒストグラムを作成し、この新たなイベントからまた増分してヒストグラムを作成し、高アーミング停止イベントに達するまでこの作業を内部で繰り返します。
各ヒストグラムの1シグマ、ピーク、分散に関するデータが保存され、イベントに対してプロットされます。このプロット図を見れば、ジッターが周期を重ねるにつれてどのように変化するかを知ることができます。ジッター変調を見ることが可能です。FFTを使用してこの時間領域のデータを周波数領域のデータに連結することで、ジッターの成分の周波数と振幅を決定することができます。 ジッター分析パネル
オプション/オプションダイアログ (Option/Option Dialog)
DTS | 関数選択ダイアログ(DTS|Function Dialog) 関数選択ダイアログの画面には、DTSの主要な設定項目が含まれています。パルス検索を行うと、新しい開始電圧(Start Volt)と停止電圧(Stop Volt)の閾値が表示されます。パルス検索パーセント表示(PULSE FIND%)をパーセントに設定している場合は、Start VoltとStop Voltは入力不能になり、それによりこれらは入力値ではなく計算される値であることを表します。2チャンネルを使用する関数を選択した場合は、チャンネル選択が入力不能になります。
測定の実行 多くの場合、ジッター分析は「周期的」なジッターおよび変調を測定するのに使用します。そのため、ジッター分析は通常、「周期」モードに設定されています。設定を完了しデータの取得を行ったら、考慮すべき点がいくつかあります。もしジッターが「x」サイクルごとに低くなり、同じ長さのデータワードをクロック測定しているのであれば、ジッターはあまり重要ではないでしょう。それに対して、データワードをクロック測定するのに同じクロックを使用し、ワード長が高いジッターを示している場合は、ジッターが大変重要である可能性があります。 ジッター分析を使用することにより、ジッター変調のさまざまな成分を見ることができます。PLLからの応答を分析すると、PLLのフィードバックループのノイズ応答と帯域幅を表す特徴的な曲線が見られることがよくあります。
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データにFFTを行う前に、(1シグマ対イベントの図で見た場合での)変調を最低でも2サイクル入手する必要があります。図5はジッターの増加を示しています。これが変調なのか消えてしまうのかを見極めるためには、充分な数のイベントを観察する必要があります。このためには、「オプション」画面で高アーミング停止イベントの数値を増加させてください。テスト時間が長くなりすぎる場合は増分も増やしてください。これにより高周波域の情報が失われますが、低周波イベントが大事な場合にはテストの所要時間を短縮することが可能です。 | |
図6では高アーミング停止イベントを増加させることで変調の存在がはっきり判ります。ジッターは100イベントで最高371 psまで上がり、200イベントで最小値まで下がります。最小値と最大値のレベルは一定です。最小値と最大値のレベルが増加していれば、低周波変調を示唆しており、さらに多くのイベントにわたって観察する必要があります。 | |
すべての変調が表示されていると確信できたら、ジッター変調の周波数成分を表示するためにFFTを実行します(図7)。FFTは1MHzのピークを示しています。FFTの設定に関しては、Virtual Instrumentsのマニュアル(pp. 129-141)を参照してください。 | |
図8はPLLのジッター分析を示しています。PLLの特徴的な「N」イベント毎のループ反応に注意してください。 また、増加曲線が高いレベルで安定すると、FFTはこれを低周波成分とみなします。FFTはこの増加曲線を変調曲線の最初の部分として捉えます。そのためFFTは架空の超低周波のスパイクを表示します。高アーミング停止イベントを増加させても真の周波数成分は一定のままですが、架空の成分は周波数が減っていきます。 | |
図9は図8のデータのFFTを示しています。低周波数の肩は増加曲線によるものです。 | |
この架空の成分は除去することが可能です。図8を見れば、最初の増加曲線はイベント100あたりで増加が止まることがわかります。低アーミング停止イベントを100に設定してFFTを実行すれば、低周波における架空の成分が取り除かれます(図10)。残ったピークはすべて、PLLの変調を引き起こしている現実の周波数成分です。 |
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